カリエスリスク~ むし歯になりやすい人、なりにくい人
森下駅徒歩2分、墨田区菊川の前島歯科医院の前島昌世です。
皆さんはむし歯になる仕組みをご存じですか?
なんとなく歯磨きができていないとむし歯になってしまう、そんな感じですか?
実は常日頃から私たちの歯は、溶けたり、戻ったり(再石灰化)を繰り返しているんです。
私たちの歯は、PH5.5以下になるとけ始めます。日頃食事するものでも酸性のものはたくさんあります。柑橘系の果物もそうですし、炭酸飲料もそうです。
他にもいっぱいあります。
ですから食事をするとお口の中は酸性になります。
そうすると歯は溶け始めてしまいます。
また磨き残しやプラークが付いているとそれを材料に虫歯菌が酸をつくりますので、その部位では歯がとけやすくなります。
しかし唾液が流れてくると、唾液は中和してPHを中性に戻していきます。
そうしてバランスが保たれているのですが、磨き残しなどがずっと付いていて、酸が供給され続けるとバランスが崩れ歯が溶かされ穴があく、つまりむし歯ができてしまいます。
ですから唾液が多く、中和する能力の高い人は、むし歯になりにくい、つまりカリエスリスクが低い人ということになります。
そのほかにも間食の種類、食べ方などによってもお口の中が酸性になっている時間がかわってきますし、分けて何回も食べるとその都度酸性になってしまいますので、同じ量食べるならまとめて食べた方が中性にもどっている時間が長くなります。
また歯並びが悪いと、磨き残しが残りやすいのでカリエスリスクも高くなります。
ですから対策としては、矯正治療で歯並びをよくして磨きにくい部位を減らす、
衛生士さんの歯磨き指導を受け上手に磨けるようになる、
歯ブラシではととかない部分を歯間ブラシなどの補助的器具できれいにする、
フッ素で歯質を強化して酸でとけにくくする、
間食の食べるもの、食べ方に配慮する
等があります。
歯ブラシをがんばっているのにむし歯になってしまう人、あまり歯磨きしないけれどもむし歯にならない人がいるのは歯ブラシだけがむし歯の原因ではないからなんです。
唾液の量や中和能力は生まれつきのものですから後からではどうしようもありませんが、上記の対策をすることでむし歯になりにくくすることは可能です。
ちなみにむし歯になりにくい方は歯周病にご注意ください。
むし歯で痛くなることがあまりないので、歯科に行く機会が少なく、歯石を取り機会も少ないので、高齢になってから歯周病が進んで、歯は大丈夫なのにぐらぐらになったので抜歯するということが結構あります。
逆に言えばカリエスリスクの低い方は、歯周病のケアさえしっかりしておけば歯を失うリスクは少なく入れ歯などになってしまう可能性は低いといえます。